えび物語Parts⑥

おはレーニア。えびです。

とある少年Eのバイク人生をゆっくりと書いていこうかと思います。

※創作物になりますので登場人物は全員マウントレーニアの養分です。

※本ブログの収益はマウントレーニアの養分と恵まれないTwitter峠の子羊ちゃんのサーキット道具費用となります。

前回➡えび物語parts⑤

ライテク講座➡︎【目線はコーナーの奥に】初心者を脱却!ライディング講座①

えびのつぶやき➡︎【違法?暴走族?】走り屋について


①:峠小僧、サーキットへ行く

飽きることなく峠小僧を繰り返していた少年E(えび物語parts⑤)。そんな時に峠で出会ったTさんに「サーキットを走ってみないか?」と声をかけられた。

その時の思いは三つ。

「走ってみたい」「勾配ないから楽勝」「峠にフィードバックできる」

とマッハでクソガキだった少年E。

後年、飲みに行った際に「クソガキだったけど、バイクに対しては生真面目だったからサーキットに連れて行ってみようと思った」と語るTさん。当時から「バカな事したら埋めて帰るからな?」と絞られていた、と語る少年E。真実はいつも闇の中。

そんなこんなでTさんに連れられて、とあるショップの走行会に参加することになった少年E。高速道路を数時間。決して近くない距離。決して安くない交通費と走行費。それでもバイトを切り詰めて、樋口野口福沢諭吉を握りしめ、なんとか当日を迎えた。

トランポなんて持っていない。ツナギを羽織って、リュックと一緒に想いを背負って、気合いの自走参戦。

行きの高速道路。待ちきれず、スロットル全開。


②:峠小僧、サーキットを走る

なけなしの金と、高鳴る胸を握りしめて早朝の高速道路を駆ける。走ること数時間、到着したのは一周2km程度の某サーキット。先行でピットを確保してくれているTさんの元に向かう。初めてサーキット。ピットにマシンを止めて、ヘルメットを脱ぎ、ピットロードを越えてコースを眺める。

「か、河川敷??(キチンとしたコースです)」

と当初想像していたサーキットとは異なったものの、サーキットデビューを果たした少年E。

走行会主催者のブリーフィングが始まり、サーキットのルールを初めて聞く。隣でTさんが教えてくれる。

「ふ、フラッグが覚えきれない(オツムは8bit)」

ブリーフィング終了後もフラッグの現物を見たり、実際のコースを眺めながらルールを再確認。超短期記憶を駆使し、日常会話の容量も削りながら必死に頭に叩き込む。

とは言っても初心者クラスの少年E。初めは先導付きの周回でコースイン。

今でも覚えている。初周回の感想。

「普通に勾配あるじゃん!!」

今思えば当たり前の事で、サーキットによっては公道でもほとんど存在しない急勾配のレイアウトもある。当時の少年Eはサーキット=平坦で、峠の方が勾配あるからサーキットなんて簡単簡単!!っと。愚か。

予想外のレイアウトにびくびくしながらも、周回していく度に慣れてきて、走る度に、曲がる度に、峠道とこんなにも違うのかと歓喜した。峠がどうだ、勾配がどうだ、思考すらも邪魔くさい。ただただ、その目の前の景色に吸い込まれていった。


③:峠小僧、サーキットを後に。

先導走行も終わり、フリー走行も終わり、ふと気付いた事は自分の走りが全然お話にもならないという事。当初は初心者クラスを走って、直ぐに上級者クラスを走ってやる!っと意気込んでいたが、上級者クラスの走りを見て、脳が揺れた。ピットではただのおっさんライダーが、信じられない速さでコーナーに消えていく。

お山の大将とはよく言ったものだ。峠で神だと思っていた人の走りと、比べるのもおこがましい程。走る前の意気込みがしぼんでいく。ナイフを持って気が大きくなっていたのに、急にキーホルダー程度の大きさにしぼんでしまったかのような心もとなさ(刃牙参照)。今までの走りのレベルの低さを受け入れる少年E。

となれるほど大人でもないので、次の走行で気合い入れてやる!!っと鼻息荒い少年E。落ち着け落ち着け、冷静に。だって俺散るやん。

はい、デモレースの2コーナー目で見事に転倒を決めて終わりました(トホホ)

その後は修復して走行は出来たが、公道では無転倒で生きてきたのでショックもでかく、かなり傷心の少年E(ゴメ忍という言葉はなかった)。

その後、後続を走っていたライダーがピットにきて声をかけてくれた。

「兄ちゃん!派手に転けたな!!〇コ〇コ動画にアップしていいかww」

「好きにしてくれ馬鹿野郎!!」

当時はGoProを搭載している車両が珍しかった為、ネタになるな~っと承諾した動画が2021年の現在もネットの海に漂っている事を確認。デジタルタトゥー怖いよ!!(※ニ〇ニ〇動画は消えてた)

初めて走ったサーキット。色々想いがあって臨んだけど、ほとんどは見当違い。「楽しかった!」で終わる考えもあったけど、やっぱりもっと速くなりたいと思って、今のままでは見えてこなかった領域が広がって、ここに踏み込んでいけばもっともっと先に行けるはずだと確信。

「初サーキット、どうだった?」

ピットで帰宅準備をしている少年Eの背後から声をかけるTさん。

この時、振り返った返事で自分の人生が決まるような気がした。

帰りの高速道路。80km/h巡行。


つづく

えびお

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