【リアブレーキの使い方/サーキット編】初心者を脱却!ライディング講座⑪

第11回テーマ【リアブレーキを使え!(サーキット編)】

おはレーニア。えびです。

今回はサーキット走行でのリアブレーキについて考えていきましょう。前提として、トップレーサーでもリアブレーキは使う人、使わない人が分かれます(後者は少数でしょうが…)。えび氏はリアブレーキ使う派です。

特に昔と大きく変わったのはタイヤの進化ではないかと思ってます。昔は軽い車体でフロントブレーキをスパッと離して一次旋回突っ込みよろしく走行だったのが、タイヤのグリップが進化して、一般ライダーでもフロントブレーキの引き摺りが容易となってきました。そうすると前後の荷重コントロールする為にも、リアブレーキを使うシーンが増えてきてるのかな?と思います。

※今回は特にえび主観ですので参考程度に

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前回➡【リアブレーキの使い方/公道編】初心者を脱却!ライディング講座 ⑩

前置き➡【目線はコーナーの奥に】初心者を脱却!ライディング講座①

関連①➡【フロントブレーキの基本】初心者を脱却!ライディング講座⑰

えびの呟き➡【250ccで十分? 排気量が必要?】みんな大好き排気量マウントについて


⑪-1 : サーキットでのブレーキング

前回の公道編でも書いたように、公道でのブレーキングは安全の為に行うものです。つまり、完全停止など減速など、緊急時の回避等に行うのが公道でのブレーキングです。これは公道でのワインディングも同じです。

ではサーキット走行ではどうでしょうか?コースインして走り始めると、当然ながら信号機も無ければ一時停止もなく、完全停止する必要がない、という事です。ここが公道との一番の違いです。サーキットでのブレーキングとは停止ではなく、コーナーアプローチに向けた速く走る為の行為なのです。

初心者の方は最短距離で減速しがちですが、それが危険な行為となります。停止する為ではなく、次のコーナーに向けたアプローチの為に、車速を、サスペンションの伸縮を、マシンの姿勢をコントロールするのがサーキットにおけるブレーキングだと考えています。その結果として、ベストラインでは最短距離でのブレーキングとなっていく訳です。簡単に考えると極力スピードを落とさない方が速いですよね。

速くなるにつれてブレーキングポイントは異なっていく為、初めはブレーキングを詰める必要はない、と思ってます。

※詳しくは以下にまとめてます。

【アクセルを開けろ!】初心者を脱却!ライディング講座 ③

【リリースポイントを一定に】初心者を脱却!ライディング講座 ⑦

軽くブレーキングについて触れた所で次はリアブレーキについて考えてみましょう。


⑪-2 : リアブレーキのタッチ

前回は公道編という事でリアブレーキを踏むとリアが沈むと説明したかと思いますが、サーキット編でも基本的なイメージは同じで御座います。

よく、「リアを沈めたければアクセルを開ければよいんでない?」と言われる方がおりますが、それは間違いなのです。おそらく、リアタイヤでブラックマークを付ける走行をイメージし、アクセルを開ければトラクションがかかり、リアが沈むと勘違いしがちですね。これはアンチスクワットという現象が関係しております。結果だけいうと、アクセルを開けるとリアはリフトする方向に向かいます。

では、なぜ?アクセルを開ければリアが沈むと勘違いしてしまうのか、それは加速するとフロントサスが伸びてリアタイヤが荷重で潰れます。それをライダーの感覚ではリアサスが沈んでいる、と感じる訳なんですね。実際にはリアは伸びる方向に力が加わります。

今回はアンチスクワットについては触れませんが、ライディングを理解するには重要な原理です。ネットで調べると色々説明があるので、探してみてね(説明放棄定期)。

脱線してしまいましたが、サーキット編で最初にイメージして欲しいのはブレーキのタッチです。リアブレーキは足で踏むせいか、フロントブレーキに比べて雑なタッチ、というより繊細に踏む、と意識する人はあまりいないいないばぁ、じゃないかと。

まずリアブレーキを踏む→ブレーキがかかる、からブレーキディスクのタッチまで意識しましょう。これは後で説明しますが、ライディングで基本的な事はイメージする事です。バイクがどのように動くのか、どのように動きたいのか、構造を理解してイメージしてあげる事が大事です。

次は具体的なシーンで考えてみましょう。


⑪-3 : リアブレーキを使うシーン

※ コースや車種で異なります

理屈をあーだこーだ並べてもつまらないので、実際にどのようなシチュエーションでリアブレーキを使ってきたのかまとめてみます。


①フルブレーキング直前

これが一番簡単で誰でも試せる方法かと思います。コースによって異なりますがストレートエンドでは200〜300km/h over!と高速域からのブレーキングが求められます。【アクセルを開けろ!】ライディング講座 ③でも言ったように、上達するとトップスピードが上がります。スピードレンジが上がるとブレーキの強さ、タイミング、ポイント等、全てが変わってくるのでビギナーはブレーキングを頑張るな!と何回も言ってきましたね。

それでも公道とは比べ物にならない速度でブレーキングする訳です。サーキットでは視覚、路面、高いアベレージスピード等の要因で体感速度が低くなります。しかし、それはライダーのみで、バイクは実速度での挙動しか出てきません。つまり簡単に言うと、ライダーの体感以上に過度な前荷重となりやすいという事です。

そこで、リアブレーキの出番です。ブレーキングで一緒に踏むのではなく、フロントブレーキングの直前に少しだけリアブレーキをかけるのが良いです。これで何が起きるのかというと、リアサスが瞬間的に沈み、過剰な前荷重を避ける事が出来ます。

何でそれが必要なの?と思うかもしれませんが、このクセをつけておくと、今後スピードレンジが高くなっても安定したブレーキングが可能になります。コーナーリングには前荷重が重要なんでが、余剰な荷重をかける必要はないので、色々分散させてあげるのがよいのだと思ってます。これと同じようにコーナーワーク中の荷重コントロールとしても、リアブレーキを使用します。これは公道編でも同じなので割愛…。

特に250cc以下のクラスの場合はコーナー進入時にリアブレーキを使い、フロントの荷重をリアに移して、フロントがボトムする時間を稼ぐようにしています。イメージとしてバイクが全体的沈むような…。

余談ですがフルブレーキって車体が真っ直ぐな時より、車体が傾いている時の方が安定するんですよね(えびの感覚)。傾いている方が、ブレーキング時のGが左右に分散されるからだと思います。

えび談

②車速コントロール

とてもざっくりと言うと、リアブレーキを踏むと車体が安定します。それは前に進もうとする力に反して、慣性力で後ろに下がろうとする力が釣り合うようなイメージです。それと併用で速度調整としても使用します。

コーナーリング進入時や脱出時、特にアクセルを開ける際にはリアブレーキを使います。他車をパスした際など、通常とは異なるラインで進入した際にはオーバーとなる場合があります。その際にはアクセルを戻すよりも、リアブレーキをかけて車速調整する方が車体も安定し、走行ラインもコントロールしやすくなります。また、立ち上がりでアクセルを開ける際にもリアブレーキを使う事で、よりアクセルを開ける事ができます

これは言葉で理解するよりも、実際にコーナーリング中にリアブレーキを使ってみて、自分の走りにあったタイミングや使い方を考えてみましょう。

しかし、コーナーは左右があり、リアブレーキは右足で操作しますよね?(サムは除く)。左コーナーは右足がアウト側なので操作しやすいかと思いますが、右コーナーでは右足がイン側なので窮屈ですよね…。私はイン側は爪先立ちで靴底を車体に向けたフォームで走る為、コーナーリング中はブーツの側面でリアブレーキを操作できるようにしています。その為に、ステップも色々試して自分に合ったステップにしました。

これも自分のフォームにあったリアブレーキを使い方をトライしていくのが一番ですが、一つだけアドバイスとして…。

“コーナーワークは左右で異なる!”

という事を理解しましょう。これもいつかテーマとして取り上げたいのですが、バイクは左右で操作する事が全く違いますよね?。そして、ライダー自身も利き手、利き足、利き目等、左右で違うのです。当たり前ですよね?なのですが、ライディングとなると左右を同じように走ってしまう人が多い。私は利きコーナーもあると思ってます。この話はまたいつか…(➡【ライディングは左右非対称】初心者を脱却!ライディング講座⑳)


③リアブレーキはそっと触れるだけ

これは本当に感覚的な事なんですが、機械の動きって2軸若しくは3軸で考えてしまいがちだと思います。サスペンションの沈みは伸び縮みの2軸、コーナーリングは前、後、内の3軸。当たり前ですが、そのような訳はありません。しかし、動きをイメージする事は大事なので、私も認識作りには2軸、3軸で話をします。

今回はリアブレーキなので、リア回りの動きを見てみると、物理計算上のように綺麗に縦回転している訳もなく、可動部には遊びがあり、色んな応力を受けながら、全方向にうねっているのが実情でしょう。なので、ブレーキパッドが触れるブレーキディスクも同様に、綺麗な縦回転をしているようで色んな方向へ力が作用していると思います。しかし、それは当たり前の事で、その応力によってマシンは安定する訳なんですね。

実際にスポーツライディングをしていく中で、リアタイヤはスライドして、リフトして、沈んでと様々な応力を受けて変化している訳です。ここで、一つ理解して欲しいのはタイヤは常に滑りながら走っているということです。それを路面との均衡を保っているのが、俗に言う”グリップ“している状態であり、”グリップ“と”スリップ“は状態として差はないと思ってます。走り方でグリップもするし、スリップもします。ただ、その均衡が崩れたり、あえて崩したりしてコントロール出来ると”スライド“となる訳ではないかと。

と言っても、私も下手くそなのでスライドさせてる!のではなくスリップを回避している、と言った方が正しいです…。なのでリアブレーキについてはディスクにほんの少しタッチしている(通常であれば引きずっている)状態での抜き差しを意識してます。リアブレーキをかけてリアを沈める!のではなく、リアディスクをそっと挟んであげる事で、暴れているリア周りが一体化しし、瞬間的に安定するようなイメージです。安定すればリアブレーキを抜いてあげます。

実際にはリアブレーキをかけた結果安定しているのだと思いますが、これを意識するとブレーキタッチの精度が格段と上達するかと思います。

リアブレーキもかける、かけないだけでなく、そのかけ方も意識してみると良いでしょう。

リアブレーキはそっと触れるだけ(某バ漫画)


リアブレーキについては賛否あるかと思いますが、私はサーキット走行時のほとんどのシチュエーションで意識して使っています。使わない場合って本当の本当に理想通り計算通りの誤差なし!という場合しか考えられず…。

それでは今回はこの辺で。

お疲レーニア!

続編→【散らないアクセルの開け方】初心者を脱却!ライディング講座⑫

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